感想3・日本語は主語が無いのではなく「自然神」が主語

日本語は神である・読者感想文
 感想文の作者、盛田克男さんは、書評メルマガ『ドリンク剤よりも元気が出る!スタミナ本』(休刊中)の発行者です。
 森田さんの書評メルマガで『アップダウン構造』を取り上げて戴きました。その文章を以下に掲載します。
 書評メルマガを発行するようなお方ですので、その解説はなかなかスルドイ。では森田さんの感想文を拝読いたしましょう。
(昌原容成) 

日本語は主語が無いのではなく「自然神」を主語とする言語(盛田克男)

30数年の翻訳実務から生まれた論理はハンパではない

 昌原さんは、日本語の不思議な構造と、それが日本人に与える融和の能力に関して、まっすぐに見つめられて研究をなさっているようです。
 しかもこれが、30数年にわたる、和英の技術翻訳実務を通じて培われたという、生で格闘された言語体験から見出されたもので、その論理的・感性的な深さは、ハンパなものではありません。

「常に」使う言語の影響

 あなたは、普段何気なく話している『ことば』というものを、 あなたの人生をカタチ創っている重要な要素のひとつ、 だと捉えたことがあるでしょうか?

 言われてみるとハッ!とするのですが、日本人は日本語、米国人は米(英)語、中国人は中国語、韓国人は韓国(ハングル?)語を、当たり前なのですが『常に』使っているのです。

 この『常に』というのがミソで、もし一国の言語が使う人に与える影響を持つのならば、知らないうちに、ものすごく大きなハタラキをしている事になる!

「顔の無い国」の劣等感は不要!

 こうしたテーマに対して昌原さんは、実に深い洞察で、我々日本人に勇気を与えてくれる日本語論、果ては国家や民族としての日本論までも展開してくれます。

 そして、純日本人(こうした呼称が良いのかどうかは別にして)以上に客観的で、生まれ育った日本への深い愛情をベースにして、技術翻訳経験からくる知恵を駆使して、解き明かしてくれるのです。

 日本人はよく諸外国から、理解できない国だと言われるようです。このことに、現代日本人は、劣等感を抱く人さえいるようですね。
そんなもの、まったく抱く必要なんか無い!のです。

日本語は主語がないのではなく「自然神」が主語

 日本人が使う日本語の真髄は、『和』にあるようです。
 これは、英語が持つ論理的な現象界をスパッ!と端的に表現する構造を広く深く包含しながらも、自然の英知をスッ!と取込む感性に富んだ寛容な構造も併せ持つ言語、それが日本語であると言えそうなのです。

 昌原さんはそれを、動作主を広義の神とした『神主アップダウン構造』と名づけ、日本人気質の本質が潜んでいると捉えられたのでしょう。
 時々、日本語は主語が無い、と言われるものですが、厳密に言うと、主語が無いのではなくて、人やその他の生命などの背景に厳然と存在している『自然神』を、意識せずに主語にしている言語なのです。(これは西洋世界で言う神、つまり人格神ではありません)

日本語ブームとは比較にならない超越した何か

 つまり、日本人は元来すべての存在物を、調和させる能力を、天から授かっていた!ことになるのです。<  ここに日本人が、日本人たる所以があるのです。  ここに日本人が、胸を張り世界に貢献する自信を養う理由があります。  詳しくは、是非、同書を手に入れて、心読をしてみてください。そこに、ただの日本語ブームとは比較にならない超越した何か?をあなたが発見するのは間違い無いと思います。自然知・社会知・人間知が満載の書籍です。

余談3つ

●余談1
 日下公人・養老孟司著の『バカの壁をぶち壊せ!正しい頭の使い方』。 この中に、『アルファベット26語と漢字約8万語』という記述。記号的言語と一文字ずつ意味を持つ言語の違いも、使用者を特徴づける影響を与える可能性も。
●余談2
 昔、何かの本で船井幸雄さんが書いていた内容。
 『船井総研でも英語が堪能な社員同士は、喧嘩をする際には自然と英語でやっている』
 同じ人間でも、言語が持つ特性を受け継ぐ証左か。
●余談3
日本人が真にその天分を活かし、世界の調停者となるためには、
 1.選民思想に陥らないこと
 2.他の言語も同様に敬意を払うこと
 昌原さんはこう忠告してくれます。気をつけたいものです。
盛田克男  

<昌原から一言> 
 盛田さんは、数多くの書物を読みこなして、そのエッセンスを書評メルマガとして発信しておられます。上記のアップダウン構造の解説文も、精髄ををよく理解して解説していらっしゃると思います。

 「余談3」で取り上げていただいたこと(第5章)はとても大事なことだと思います。本書は、第1章は比較的に簡単ですが、章が進むにつれて、厳密な論理構成のために少し難しく感じられる点もあることでしょう。
 
その際には、飛ばして読んで戴いて結構ですので、第四章と第五章は是非とも読んで戴きたいと願っています。この章がとても面白いのです。

 日本語アップダウン構造は、地球の宝といえるでしょう。その日本語を戴いている日本人が「選民思想」に陥って、ユダヤの民の後塵を拝するようになってしまっては、地球の未来もありえませんね。

 また「アップダウン構造」という英語の力を借りて分析を進めることができましたので、英語をはじめ他国の言語にも相応の存在理由があることを深く認識すべきでしょう。