『日本語は神である』が『宇宙の理』で紹介されました

 トランス通信の読者・練達大人から、年頭メールをいただき、拙著『日本語は神である』が、ザ・コスモロジーの会誌「宇宙の理」(2019年1月号)にて、日本語の特徴という主旨で紹介されていると知らされました。
 ご参考までに、「宇宙の理」からの引用を下に記します。

Dさん「ご隠居さん、だいぶ寒さも増して参りましたが、今年も宜しくお願いいたします。」

ご隠居「今日は、わたしの方から先に話をさせて頂きます。というもの、先日ネットで記事を書いておられる方の言葉が気になったので、そのことを紹介したいと思ったわけです。」

Dさん「何か面白いことでも書かれていたのですか・・・」

ご隠居「それは日本語の特徴についてのことだと思うのですが、内容は別の有料記事に書かれているようで、詳細は分かりませんが、そのタイトルとして『最新の言語学調査から思う「日本人は他の誰も見えない世界を見ている」こと』と題されていたんです。それを見て、確かにそうかもしれない、と大きく頷けるものを感じたわけです。」

Dさん「日本は言霊の国とも言われていますので、日本語が日本人としての在り方を決めているのかもしれませんね。」

ご隠居「古の歌人の山上憶良は、「神代より言ひ伝て来らく そらみつ大和の国は皇神の厳しき国 言霊の幸はふ国と語り継ぎ言い継がひけり(神代の昔から言い伝えられてきたことだ。日本という国は言霊によって幸をもたらす国だと語り継ぎ言い伝えてきた)」と詠んでいます」

Dさん「わたしも先日、長年に亘り翻訳の仕事を通して日本語の特性を研究されてきた、昌原容成氏が『日本語は神である』と題する興味深い本を出しておられることを知りました。その本の中で、「日本語の構造自体が、神の存在を内蔵している「として、「日本語は、言語自体の中に見えない世界が隠れている」と仰せになっています。また、「日本語を使う日本人は無意識のうちに神とつながっています。つまり日本語は「無意識」の宗教のような働きをします。日本語の言霊の力、日本人の倫理意識の高さ、日本文化のすばらしさ、それらすべての根本は、日本語に神が内蔵されているからでありました」とも語っておられます」

ご隠居「納得できるところですね。或る言語学上の仮説では、「言語が現実世界の見え方や感じ方を支配している」と言われているようで、このネット記事を書かれた方も、『「言語」というものが』価値観だけではなく、「見えるもの」と「見えないもの」をものすごく支配していることがわかります』と述べておられます」

Dさん「「わび」とか「さび」という独特な日本語表現は、見えない世界を表現していると言えるわけで、それは「日本人は他の誰も見えない世界を見ている」ことになるのかもしれませんね」

ご隠居「一般に、人が話す時には言語脳とされる左脳でその音を聞き、楽器の音などは音楽脳と呼ばれる右脳で聞いていると言われていますが、元・東京医科歯科大学教授の角田忠信氏は、「虫の声ような自然界の音の場合では、西洋人などが右脳においてノイズ的な「音」として聞く一方で、日本人は左脳で会話のような「声」として聞いている」と仰っています。要するに日本人は、鳥のさえずりや動物の鳴き声、風が木の枝を揺らす音や雨音などの日常にあふれる自然音を、或る種の「声」として捉え、その自然界からの語りかけに趣きを感じてきたというわけですね」

Dさん「その辺りの微妙な感性というものが他の国々の人々と違うわけなんですね」

ご隠居「でもね、自然音を左脳で「声」として聞く日本人の特性は人種的なものではなく、あくまで日本語に由来するものだそうで、外国人であったとしても、日本語で育てられると「自然の声」を聞くことができるのだそうですよ」

Dさん「正に言霊の威力ということになりますね。日本語が世界語になるというようなことを昔、お聞きしたことがありますが、優良星界になるということは、そういうことかもしれませんね」

ご隠居「外国人と接していると、日本語の独特な表現をどのように英語に直したらいいのか困ることが多々ありますからね。例え、英語らしい表現に変えても、何となくしっくりいかないものが残り、果たして真意が通じたのかどうかと不安になることがあります。一般に、外国人から見れば、そうした日本語表現が曖昧だと感じるようですが、その曖昧さの中に「日本人は他の誰も見えない世界を見ている」ことになるのかもしれません」

Dさん「わたし達も、日本に住んで、日本語を当たり前のように使ってきましたが、もっともっと日本語の言霊の重要性を認識する必要がありますね。ところで先程の昌原氏が、日本語の「ありがとう」に含まれる言霊の力として次のように述べておられましたので、参考までに紹介させて頂きます。但し、どうしてそのようなことが言えるのか・・・私には分かりません。
●ア・本源の光・
●リ・循環転回。アの光が循環転回してゆく。ラ行はすべて循環転回を表します。モノを落としてアララというのは、そのモノと一緒に転がっている様。
●ガ・カは隠れた存在、神。ガは神々の集合、神波。それはめったにあり得ない恩寵である。
●ト・本源の神波、光がそこにあって循環転回している まことに得がたい恩寵であるが、そこに卜(扉)が立ててある。しかしそこをトーーツと通(トオ)りぬけていくのもまた、卜の言霊の力。
●ウ・浮(ウ)かびあがり、動(ウゴ)かす力。
●ゴ・御(ゴ)尊い存在を尊ぶ。
●ザ・座(ザ)尊い存在がおわします座。
●イ・居(イ)尊い存在が尊い座に居(イ)らっしゃる。イはまたイノチの響きでもある。イノチの響きがそこに循環転回しているからイルという。無生物はイノチを持たないが本源の光(ア)によって成り立っているからアルという。犬がイル、鉛筆がアルの使い分けはそういうわけ。イはさらに一切を集める力がある。イーッと唱えながら、己の一切を御座(ゴザ)に集めるとよい。
●マ・マツリのマ。イーッで己を一切を御座(ゴザ)に集めて、マーでマツリする。
●ス・統(ス)べる。天皇は一切を統(ス)べ給うのでスメラミコトと申し上げる。スーと唱えながら己自信を御座(ゴザ)に統(ス)べていく。スーッと入っていくわけ』)

ご隠居「面自いですね 世間では、「ありがとうございます」を一日に一万回唱えたら素晴らしいことがあった、という方もあるように、数多く唱えることが重要なように考えている方も多いようですが、それよりも、昌原氏の言われる一音一音の言霊を大切にして、「あ・り・が・と・う・ご・ざ・い・ま・す」とゆっくりと唱えた方が、例え少ない数でも、言霊の働きが現われやすいのではないでしょうか。とにかく、わたし達は日本語の言霊を意識して、正しい、美しい日本語を使うように日々、気をつけていくことが人切だと思います」

木村進『ご隠居さんの甘辛放談』(『宇宙の理』2019年1月号所収)より引用