幼少期の失われた言語、脳は覚えていた

大脳は幼児期の言語を覚えている


たとえば中国で生まれて中国語の環境下でしばらく過ごした後、フランスの家庭へ養子に引き取られ、フランス語だけで成長したとする。その子は中国語は全く忘れてしまっているようにみえる。

ところが、本人の自覚出来る意識に反して、脳は中国語をある意味で忘れていなかった。
そういう趣旨の研究論文が、最近の米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Acdemy of Science) に掲載された(2014年11月17日)。


実験は、カナダのモントリオール神経科学研究所で画像スキャンを用いて行われた。対象者は、9歳から17歳の少女48人で、彼女達は、生まれてから平均12.8ヶ月で中国からフランスへ養子に出された。

中国語には声調というものがある。
例えば、「ママ」という言葉を、どのような声調で発音しても、中国語を知らない人に取っては同じ音として聞き分けるが、中国語を知っている人は、その声調によって「マ」が母親、麻、ウマ、罵り、などの意味があることを認識できる。

実験の詳細は省略するが、要するに、養子として引き取られた時点までに言葉を習得する時間がほとんどなかったとしても、脳はその短い期間に受けた言語による影響の痕跡を残しているというのだ。

人間が知性を作っていく根本が、言語にあるのではなかろうか。中国に生まれたならば、中国語の影響を受けて大脳処理システムが形成され、日本に生まれたならば日本語によって大脳処理システムが形成される。

その日本語がアップダウン構造をしていて、その奥に神が内蔵されている。
そういう日本語を使い続けて生活する日本人が、日本語アップダウン構造に影響されるのは当然のことだ。

つまり、日本人は無意識のうちに、日本語によって、奥の世界と繋がっていることになる。日本語があるから、日本人には宗教の必要がない。日本語が日本人にとって一種の「宗教」のような役割をする。

一方、欧米の宗教民族は、言語の中に奥の世界と繋がるという仕組みがない。したがって、言語とは別の宗教というものを立てて、それを意識的に取り入れる。

2度の大震災で見せた日本人の倫理意識の高さに、世界が驚嘆した。
それは日本語アップダウン構造のおかげである。