産土百首03 草も樹も吾が産土の御體の
草も樹も 吾が産土の 御體の 御けつ物ぞと 人は知らずやも
(くさもきも わがうぶすなの おからだの みけつものぞと ひとはしらずやも)
草も樹も大地の産物
草も木も、大地の産物であるということは、人みなのよく知るところであります。
ところが、大地の産物ということを、もう一歩進めていただきたいのです。
草や木が大地の産物であるということは、草も木も大地の響きを受けて産出される、大地の化け物であるわけです。
地球上の大地それぞれには、それぞれ特有の磁気を発しており、大地の産物はその磁気波動に染められます。それがその土地の土産(どさん・みやげ)になるわけです。
「産土百首02 往き還る足踏むごとに産土の」において、大地の表面から九尺以下は、産土さまの世界と申しました。大地は産土さまの御肉体であると申しました。
草や木は、その大地に根を下ろし、日月風雨の恵みを受けて生育します。何よりも大地のエネルギーを吸い込んで生育するのです。
「御けつ物」とは、ここでは食物というほどの意味です。
神祭りにおいて神前にお供えする五穀や野菜等も「みけつもの」です。
神さまに「みけつもの」を捧げて祭りをお仕えするのは、神様が「みけつもの」をお食べになるのではありません。
神様は「みけつもの」のエネルギーを採って祭りをなさるのです。
【「神様は生のコメを食べるの?」参照(文末にリンクあり。】
「草も樹も 吾が産土の 御體の 御けつ物ぞと」認識するならば、それを食することは、産土さまの磁気波動を食することになります。それゆえ、日本人ならば、せめて主食の米は日本産の米を食べましょう、野菜なども可能な限り日本産を食べましょうということになる。
日本列島には日本列島特有の磁気波動があり、その磁気波動を帯びて日本の土産(どさん)があるのです。
日本人が、仮に海外産の食物のみを食べ続けると、日本人としての身体が保てません。日本人であることができないのです。
食養の世界で「身土不二」(しんどふじ)という言葉があるのは、その間の消息を表しています。
草や木が、ある意味で大地を食べて生きている。その草や木を食べる人間もまた、大地を食べて生きているのです。だから人間の「身」と「土」とは、異なる二つのものではない(不二)というのです。
産土の神は、土を生み出す神であり、大地の産物たる草や木もまた産土の磁気波動を受けて生育し、人もまた産土の磁気波動の化成し他存在であるのです。
キリスト教の聖書に、人間は砂から造り出されたとあるのは、その点を表現したものでしょう。
産土の神と草や木、さらには人間との関わりは、こんなにも強いものであるのです。
さらにまた、人間が用いる言語もまた、産土の磁気波動に染められているのです。だから土地土地の方言があって、土地振りを表しているのです。
草も樹も 吾が産土の 御體の 御けつ物ぞと 人は知らずやも
この一首、じっくりと味わいたいものですね。
【参考】→神様は生のコメを食べるの?