マッサンの嫁エリーの米の研ぎ方はきつすぎる
NHKの朝ドラ「マッサン」を楽しんで見ています。
先日、マッサンの嫁エリーが、住吉酒造の娘・優子にご飯の炊き方を教わるシーンがありました。
そこで優子がエリーに米の研ぎ方を教えていたのですが、これが今の時代にはふさわしくありません。
研ぎ方がきつすぎるのです。
米を水に浸して、掌でゴシゴシと研ぐ。
確かに、昔はそういう研ぎ方をしていました。
しかし、それは精米技術がまだ未熟であった頃に、糠(ぬか)をしっかりと取り除く必要があったので、ゴシゴシと研いでいたのです。今は、精米技術が進みまして、そんなにゴシゴシとしごかなくても、初めから糠はほとんど取れてしまっているのです。
大正の時代に優子が米を研ぐのであれば、なるほど、ゴシゴシと研ぐのが正解であり、ドラマは時代を正確に表現しているといえます。エリーちゃんも、美味しいご飯を炊くためにゴシゴシと米を研いでもらわねばなりません。
しかし、今の時代で、それを真似ると、美味しいご飯は炊けません。今のお米をゴシゴシと研ぐと、米の表面が傷ついて、米の旨みや甘みが水に流れてしまうのです。
今のお米の研ぎ方としては、掌は使わずに、五本の指でしゃかしゃかと軽くかき混ぜるぐらいでよろしいのです。
充分に精米された米であれば、一度軽くすすぐだけでかき混ぜることすらしないのがよいと主張する人もいます。
私も何度か、一度すすぐだけでかき混ぜることすらしないでご飯を炊いたことがあります。それでも糠の味はしませんでした。
「米を研ぐ」という言い方は、もう時代にそぐわないのかもしれませんね。
米を研いでいた時代から、米はすすぐだけでよいという時代になっているのでしょう。
和食の基本は、ご飯ですので、ご飯の美味しい炊き方こそ、日本人の食生活の基本中の基本ではありませんか。
たまに外食して、おいしいご飯にあたることが少なくなりました。
和食のコースとやらで、料理人が腕によりをかけて、美しい盛りつけで目を楽しませてくれ、味も結構よい。ところが最後に出されたご飯がイマイチなので、がっかりすることが多いのです。
和食料理人の基本は、ごはんを炊くことではありませんか。
おいしいご飯がたけてこそ、目を楽しませる美しい盛りつけ料理が引き立つというモノでしょう。
料理人たちよ、ご飯の炊き方にもっと精進しなさい、と声を上げて申し上げたい。
読者のみなさんも、米はやさしくすすいで炊、ということが、美味しいご飯を炊く秘訣であると承知しておきましょう。