衣服に倭文(シズリ)の神気を籠める

以前の記事において、倭文(しずり)の神について、こう述べた。

衣服の神を倭文(しずり)の神と申し上げる。
衣服を、取り分け神修の衣服や武道稽古の道着を新調したり、洗濯したりした際には、倭文(しずり)の神にお願いして神気をこめていただくとよい。
(昌原気ゆる日記「道着・衣服の力と倭文(しずり)の神」

倭文(しずり)の神とは、建葉槌命(タケハツチノミコト)のことであり、この神を祭る倭文神社(しずりじんじゃ)が全国各地にある。
有名なところでは、伯耆国(ほうきのくに)一の宮の倭文神社(鳥取県東伯郡湯梨浜町)がああるが、その他には延喜式神名帳に以下の社名が見える。
 ・伊勢国鈴鹿郡 倭文神社(現 加佐登神社(三重県鈴鹿市)に合祀)
 ・駿河国富士郡 倭文神社(静岡県富士宮市)
 ・伊豆国田方郡 倭文神社(現 鍬戸神社(静岡県三島市)ほか論社複数)
 ・常陸国久慈郡 静神社(茨城県那珂市)
 ・甲斐国巨摩郡 倭文神社(山梨県韮崎市)
 ・上野郡那波郡倭文郷 倭文神社(群馬県伊勢崎市)
 ・丹後国加佐郡 倭文神社(京都府舞鶴市)
 ・丹後国与謝郡 倭文神社(京都府与謝郡野田川町)
 ・但馬郡朝来郡 倭文神社(兵庫県朝来市)
 ・因幡国高草郡 倭文神社(鳥取県鳥取市)
 ・伯耆国久米郡 倭文神社(鳥取県倉吉市)

また、常陸国一宮・鹿島神宮の拝殿前に小社があり、倭文(しずり)の神が祭られている。
神宮参拝の際には、この倭文(しずり)の神に参拝し、神気の布に乗せていただいて拝殿へ歩を進め、参拝するという順序がある。

神気の布を織りなす神は、また人間の衣服にも神気を籠めてくださる。
新しい神修の衣服をあつらえた際などは、倭文(しずり)の神をお呼びして、この衣服を神修の衣服となさしめたまえとお祈りする。

衣食住といい、人間生活の三大要素の一つが衣服であるが、その衣服が本当に人間にふさわしい衣服たらしめてくださるのが、倭文(しずり)の神であると申し上げることができる。

倭文(しずり)神魂、みさちはへませ。