天照大神 (その2)

4.天照大神は太陽神界の齋主(いわいぬし)

 天照大神が太陽神(たいようしん)であり、伊勢神宮に祭られていることは、日本人ならどなたもご存じでしょう。朝、日の出の時の太陽を「御来光(御来迎)」として礼拝申し上げる方も多いと存じます。
 この太陽神ということ間違いはないのですが、もう少し詳しく真相、神相を物語りますと、天照大神は太陽神界の齋主(いわいぬし)と申し上げるべきでしょう。
 齋主(いわいぬし)の「齋う(いわう)」とは、祭りするという意味ですので、齋主とは、祭りの主のこと、つまり、神主であります。

 えっ?天照様が、神主さん???
と、怪訝(けげん)に思われるかも知れませんね。

 人間は、祭りする。
 神様は、祭られる。

 実は、このようにお考えになるのは、人間の思いこみに過ぎません。
 神様とは、祭りをなさるご存在です。
 天照大神が、太陽神界で祭りをなさるから、万物が生命を保ち得るのです。

 また、太陽自体は、カミムスビノ神様の顕現体であり、そのカミムスビ神界つまり太陽神界で神主をつとめられるお方が、天照大神であるということ、日本人の常識にしたいものです。

5.太陽と地球と人間

5-1. 世界各地の太陽信仰

 太陽を神として礼拝申し上げるという信仰は、世界中いたる所に存在します。
 古代エジプト、ギリシア・ローマの神話や、ゲルマン神話にも太陽信仰が見られ・・・などなど、数え上げるといくつでもでてきます。
 そもそも、太陽なくして地球は存在し得ず、人間も生存はかないません。
 富士山に登る人に、登山の理由をアンケート調査したところ、第一の理由は、御来光(御来迎)を拝みたいというものでした。
 地球上の一日という周期が、太陽と地球との関係から出てくるものですので、人類はことごとく、太陽のリズムによって生きていると言えます。

5-2. 春分、秋分のみたま祭り

 地球上の一年という周期もまた、太陽と地球との関係から出てきます。一年の内、とりわけ、春分の日と秋分の日をみたま祭りの日として用いられるのには、訳があります。
 戦前は、春分の日に春期皇霊祭が行われ、秋分の日に秋期皇霊祭が行われていたのですが、戦後、国民の祝日と定められました。
 春分の日も秋分の日も、太陽は真東から昇り、真西に沈みます。太陽から発せられる生命力の光が、春分・秋分の日にちょうどよろしき塩梅(あんばい)を得るのでしょう。
 そこで、春分の日、秋分の日に、みたま祭りして、太陽の生命力をあの世のみたまたちに差し上げるというのが、春秋の彼岸の祭りであります。
春 分の日、秋分の日に、先祖のみたま祭りするというのは、太陽と地球と人間との麗しい共同作業のように思えて参ります。
 人間生活万般に太陽のおかげを蒙っていることを思うと、日本人が天照大神を尊崇するのは当然のことでありましょう。

6.天照大神と太陽の新時代

 トランスペース研究所は、「太陽の新時代」における人間の生き方を探求するということを主眼目としているのですが、この太陽の新時代とは、詰まるところ、天照大神の新時代と申し上げることができるでしょう。
 伊賀国風土記に、天照大神がイガツヒメに金鈴を授け、やがて時が来て吾が(天照大神)御心がこの世に現れる時に、イガツヒメよその金鈴を振るべしと仰せられたとあります。
 イガツヒメノ神が金鈴を振るい、その鈴の音に乗せて天照大神の神つみよさしが遍く地上に行き渡るという、その時は今でありましょう。
 太陽の新時代とは、天照大神の御心が遍く地上に行き渡るという時代と申し上げることができます。
 天照大神を民族挙げて崇拝する日本人が、今の時代にこそ、神意にそった生き方をもっとも強く求められる道理がそこにあるのです。

7.天皇家の祖神から生命の根源神へ

7-1. 天照大神は生命の根源神

 太陽の神、天照大神と云われるその真相を一段と深めると、
 太陽ご自身はカミムスビノ大神の顕現体であり、
 カミムスビ太陽神界の齋主(いわいぬし)つまり神主が天照大神。
 太陽神界は生命を祭る神界であり、天照大神が太陽神界で生命のお祭りしてくださるから、生きとし生けるものが生命を保ち続けることができるのです。
 太陽を礼拝申し上げる際に、天照様のその奥にカミムスビ様を感覚し、生命の根源界を感覚できる者は幸いであると申し上げたい。

7-2.天照大神を生命の根源神として礼拝

 世界中の民族に先駆けて、太陽の新時代を生きる日本人こそが、天照大神に対する感覚を新時代の流れにふさわしく深めて戴きたいと切望するのであります。
 つまり、天照大神を天皇家の祖神として尊ぶという立場から一段と真相を深め、天照大神を生命の根源神として礼拝申し上げるということ。
 生命の根源神であるならば、天照大神は日本民族の占有の神ではなく、地球上あらゆる人々が礼拝申し上げるべき至尊の大神とみたたえ申し上げることができますね。

8.理性は太陽神界の恵み

 トランスペース研究所の立場から、最後にもう一つ、天照大神の恵みについて申し上げたいと思います。
 太陽の新時代においては、人間はもはや「真如の月」の光、宗教の光に頼ることなく、己自身の理性の光によって己自身の生き方を照らすべきであります。
 その理性の光とは、太陽神界の恵みに他ならないと申し上げて、本稿を終わります。