日本酒は日本文化の華一覧

日本酒「七ツ梅」 梅は七つ時(未明)にひときわ香る

「七ツ梅」は「剣菱」や「男山」と共に、江戸時代を代表する銘酒であった。七ツ梅は辛口のスッキリとした旨みが江戸市中でも人気を呼び、葛飾北斎の浮世絵にも「七ツ梅」が描かれている。天保年間には、江戸城大奥の御膳酒として愛飲された。天保6年生まれの天璋院篤姫も、ひょっとすると、この「七つ梅」を口にしたかも知れない。

日本酒「六十餘州」日本列島を呑み込もうという気迫か(長崎県)

六十餘州(ろくじゅうよしゅう)とは、日本全国を意味する言葉である。六十餘州を酒名とする大吟醸酒は、九州長崎県の酒である。九州は肥前(ひぜん)の国から、六十餘州を呑み込もうという気概をもって造られた酒であろうか。州とは、国のこと。九州とは、九つの国(筑前、筑後、肥前、肥後、豊前、豊後、日向、大隅、薩摩)を意味する。

日本酒「鳴門鯛」 鯛は大位、鯉は高位と尊ばれ

鳴門鯛の酒銘を遊ぶ。「腐っても鯛」と言われるほど、日本人は鯛を尊ぶ。中でも「鳴門の鯛」は、激しい渦潮に揉まれて身が締まり油の乗りもよい。それを酒銘に用いるとは徳島の蔵元はよほど鳴門の渦潮を自慢したいようだ。その赤い色が目出度いとして祝い事には欠かせない。出産祝いには赤子と同じほどの大きさの鯛を供えて誕生を祝う。

日本酒「東一(あずまいち)」 日本一いや、東洋一の酒造りを目指す

日本酒「東一」(あずまいち)の酒銘を楽しむ。蔵元は江戸時代からの造り酒屋から分家して、日本一の酒造りを目指すという志を以て「日本一」なる酒を造り出した。ところが、米で酒を造るのは、日本に限らない。東洋諸国で米作りが行なわれている。そこで日本一から更に広く、東洋一という意味を込めて「東一(あずまいち)」を世に出した。

日本酒「明眸」(めいぼう)凛々しく酌せよ乙女

愛知県の日本酒「明眸」((めいぼう))の酒銘を楽しむ。明眸(めいぼう)は、明らかなる瞳を意味し、皓歯(こうし)とは、白くそろった歯を意味する。明眸皓歯(めいぼうこうし)は、美しい女性を形容する言葉であり、その美しさの中に凛々しさを感ずる言葉である。 女性美も様々である。凛々しさを感ずる美しさもあれば、妖艶なる美しさもある

日本酒「田酒(でんしゅ)」水田から取れる米こそ酒造りの中心 

日本酒「田酒(でんしゅ)」の酒銘水田を楽しむ。田酒(でんしゅ)。いい響きだ。水田(すいでん)は、稲の育つところ。稲にあやかって、色々なものが田からとれる。油がとれるところを油田(ゆでん)という。塩がとれるところを塩田(えんでん)という。清き一票は、票田でとれる。田(でん)はまた、稲田の広がる田舎を意味する。

日本酒「七賢」の酒飲みよ清談に興じ給え

日本酒「七賢」の酒銘を楽しむ。中国に、「竹林の七賢人」の故事がある。昔、中国は「三国志」で知られる三国時代、世の不条理を嘆く七人の賢人たちが、竹林で酒を酌み交わし琴を引き老荘の清談にふけったという。天保6年高遠藩主より「竹林の七賢人」を彫りこんだ欄間一対が蔵元に授けられ、以後「七賢」の酒銘を用いるようになった。

日本酒「くどき上手」とは一見、艶っぽい名乗りだが

「くどき上手」とは、一見、艶っぽい名乗りである。(ラベルもまことに艶っぽい。)「口説く」と書くと「口で説く」と思われ勝ちであり、主として男が女に求愛することと受け止められているが、この言葉は実は、くどくどと同じことを繰り返し述べるというのが原義らしい。源平盛衰記には、「泣きくどき、物語し給ひけるが」の用例がある。

日本酒「一ノ蔵・大和伝」酒造りに全心魂を込める・恋愛にも二の矢なし

「神法に二の矢無し」という訓えがある。一の矢に全心魂を籠める。引き絞った弓に一本の矢をつがえ、その一の矢に全心魂を込めて放つ。二の矢は無い。「一ノ蔵」という名乗りには、ただ、酒造りする己があるのみ。その己が、一の矢に全心魂を籠めるという心掛けでもって、ひたすらに米、水、酵母と眞向かう。

日本酒「飛騨自慢・鬼ころし」鬼をも殺す辛口の酒

「鬼ころし」とは随分ユーモラスな名乗りで「殺す」という殺伐さが感じられないのは、童話桃太郎を連想させるせいか。全国各地に「鬼ころし」の酒銘は多数見受けられるが、飛騨高山の老田酒造が、そもそもの初めらしい。蔵元が、代々作り続けた「飛騨自慢」は、その辛口の味わいが鬼をも殺す力ありと「おいたの鬼ころし」として親しまれてきた。