【篤姫03】篤姫のみたまふり(桃の花で汚れを祓う)

篤姫は桃の花のようなお人

天璋院篤姫は桃の花のようなお人天璋院篤姫の霊魂のあり方(みたまふり)を一言で表現すると、「桃の花のようなお人」と言えるでしょう。
桃の花には、汚れを祓う力があるのです。
神祭りにおいても、特に桃の花を用いるという祭事も、実際にあります。(後述)。

桃から生まれた桃太郎よろしく、桃から生まれた篤姫さんが大活躍して、幕末動乱をうまく鎮める働きをしてくれました。そのために篤姫ご自身は、自らを「捨て石」として大事に当たられたのです。

古事記にみる桃の働き

最近、古事記を繰り返して読んでおります。
古事記の中に、篤姫の「捨て石」人生に響き会う箇所がありました。

イザナギ大神が黄泉(よみ)の国から逃げ帰る際に、桃の実を投げ捨てて難をのがれるという条(くだり)があります。

桃の実に救われたイザナギ様が、その働きを称揚され、
桃の実に「オオカムヅミノ命」という神名を授けられます。

そしてオオカムヅミノ命に対して、次の言葉をかけられます。

汝(いまし)、吾を助けしが如。芦原の中国(なかつくに)にあらゆる、うつしき青人草(あおひとくさ)の苦瀬(うきせ)に落ちて苦しまむ時に助けてよ

【私を助けてくれたように、日本国の人々が苦しんでいるときに、それを助けてあげなさい】

篤姫の人生は、桃の働き

古事記の記述は、絵空事ではありません。
桃には現実にけがれをはらう力があるのです。

たとえば、葬礼のさいに、焚きあげたお骨(こつ)を清水で清めて差し上げるという作法がありますが、
その際に、桃の枝3本を束ねて、祓えのヌサの代わりに用いるのです。
桃には、祓えの力があるわけです。

篤姫を想うとき、その「捨て石」人生を想うとき、
私は、この桃子(もも)の働きを想うのであります。

そして、篤姫さんの霊魂が「オオカムヅミノ命」の神系に属することを、しっかりとかみしめております。

篤姫のみたまふり振り起こす幸せ

篤姫のみたまふりを一言で申し上げれば、「桃の花のようなお人」だとは、「オオカムヅミノ命」に連なる払えの神力を如何なく発揮して、動乱の世に一筋の光をもたらしたということでありましょう。

人間は自分の霊魂のありようを存分に発揮することが、
一番の幸せであるのです。
霊魂の働き振りおこすことを「みたまふり」と申します。

一見、女の幸せにはほど遠いとみえる篤姫の人生でありますが、
篤姫さんご自身の霊魂が、その生き方を選び、
その生き方を生ききったのであれば、
それこそが篤姫さんの人生の幸せ
と申し上げるべきではないでしょうか。

私は、篤姫さんは、立派にそのお役目を果たされて、
そのみたまふりを存分に振り起こし、
多くの人々に恩恵をもたらしたと思うのです。

その意味で、篤姫さんは、霊魂の奥深くから幸せをかみしめることができる人生を送られた、と申し上げることができるでしょう。