標本木と癒やしの効果(神社には神木が必要)

 「標本木」(ひょうほんぼく)とは、気象庁などが梅や桜の開花状況を判断するための指標として設定した木のことです。
 自分自身の個人的な標本木を定めましょうとお勧めしました。 
 →セーヌ河畔の紅梅白梅を標本木として
紅梅白梅
 私の「マイ標本木」である紅梅・白梅が、日増しに花を増やして行く様を眺めるのが、散歩の愉しみであります。
 「マイ標本木」を持つことは、自然の移りゆきを深く観察する眼を養うとともに、植物のもつ癒やしの力をうけられるという恵みがあります。

 知り合いの中学生の男の子が、いろいろと複雑な家庭環境もあって心が落ち着かない。時には、非行めいたこともしでかす。そこでその子には、「マイ標本木」ならぬお友達の樹を創りなさいとアドバイスしました。

 その子の家の近くに公園があり、大きな樹木が枝を広げている。その中から自分の気にいった一本を選んで、それとお友達になりなさいと薦めました。

 そして何かもやもやとした気持ちで落ち着かない時には、お友達の樹に手を置いて、彼(彼女?)に話しかけなさい、幹に手を置いて眼を閉じて、その樹から天のエネルギーが自分の中にはいってくると観想しなさい、と。

 植物というものは、本当に人間をいやしてくれるものであります。
 また樹木から、エネルギーを戴くことも可能です。

 産土神社があって、それが真実、産土神界の力を発揮しようとなると、神域の大地が清らかでなければなりません。
 水が湧く井戸が必要です。さらに、神木がゼッタイに必要なのです。

 本殿があって、そこにご神体を奉安しています。
 人間は、本殿前の拝殿から、そのご神体を礼拝申し上げます。
 その祈りに応えて、ご神体から神気が放射されて祈り人にもたらされます。

 では、ご神体の神気は、どこから補充されるのでしょうか。

 産土の大地です。

 そして産土の大地に神気を蓄えるはたらきをするのが、神域の神木たちです。
 産土神社の神木は、神気充実のためにどうしても必要な道具立てであるのです。

 木の神を「ククヌチノ神」と申し上げるのですが、漢字を当てるならば「虚空内(くくぬち)ノ神」となるでしょう。
樹木の幹が、虚空の柱となって、天空の神気を大地に蓄えるのです。

 産土神社で祭事を行う際にも、拝殿でお仕えすることがあり、時には神木の前でお仕えすることもあるのです。
 家内の妹が養子を迎えるさいには、葛城山の一言主神社の境内にある大きな銀杏の木の前に神座を設営して、結婚の祭りと火継ぎの祭りをお仕えしたものでした。

 産土神域にマイ標本木を設定してその木と仲良しになり、ククヌチ様と気線を通わせるのもたのしいことでありましょう。
 但し、しめ縄を掛けてあるご神木には触らないという心掛けも必要です。樹木の幹に手を置くのであれば、近所の公園の樹木を選んで下さいね。