日本酒「獺祭(だっさい)」杜氏抜きのデータ管理でウマイ酒造り
日本酒は日本文化の華である:「獺祭」(だっさい)の蔵元・産地
山口の日本酒「獺祭」(だっさい)の酒銘を楽しむ
「獺祭」(だっさい)とは見慣れない言葉だが、日本酒「獺祭」が大好評のおかげで、随分と広く日本人にまた世界中に知られるようになってきた。
「獺祭」の「獺」は「かわうそ」のこと。
獺(かわうそ)は魚を岸に並べる習性があり、その姿がまるでお祭りのお供えものを並べているようだとして、「獺祭」という言葉が生まれた。
学者が文章を書く為に机上に参考書類を並べるのも「獺祭」といわれ、正岡子規などは自らを獺祭書屋主人と号していた。
獺祭の蔵元・朝日酒造のすぐ近くに川が流れており、川べりには「かわうそ亭」というレストランもある。
定めし、昔はこの川にかわうそが住んでいたのであろう。朝日酒造の住所地「獺越」(おそごえ)にも「獺」の字が含まれていることからも、カワウソがこの地に住んでいたのは間違いない。
日本酒は、米と水と麹とで造るのだが、基本的に大地の恵みの結晶体であると言える。
その土地の響きを酒銘に入れるというのは、酒造り人たちの共通する心組みと言えよう。
獺祭の朝日酒造は昭和創業の異色の蔵元
「獺祭」の蔵元・朝日酒造のある獺越(おそごえ)」の地は、半径5km以内に住む人はわずか250人という過疎地であるが、そこに地上59mの高層の建物が出現した。
まるで高層マンションのようだが、これがれっきとした「獺祭」朝日酒造の本社工場なのだ。
江戸や明治の創業が多い日本酒蔵元の中で、「獺祭」朝日酒造は、昭和23年の創業。
まだ日の浅い新参と侮るなかれ。この朝日酒造の革新的な酒造りは、実際に美酒「獺祭」を作り出しているのである。
どれほど「獺祭」がウマイかというと・・・。
獺祭は大吟醸酒のみで、最高級品は720ミリリットルで3万円を超える高額商品であるが、それでも品薄で、1ヶ月や2ヶ月待たされることは珍しくない。
2014年4月に来日した米国のオバマ大統領に安倍晋三首相がプレゼントしたのも、この獺祭であった。パリの一流レストランのソムリエにも獺祭を絶賛している。
世界中で獺祭ファンが増えているので、旭酒造の売上高は当然右肩上がり。2014年9月期で49億円だが、前期に比べ26%も伸びた。
つまり、「獺祭」はウマイのである。
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私の酒飲みの友人・山本升空大人も「獺祭」の磨き五割に凝っているとか。
(図は升空大人愛飲の「獺祭」磨き五割)
私にとっては、近代科学的実証やら客観的事実やらはどうでもよい。
私の友人、あの酒飲みの升空大人が「獺祭はウマイ」と言っているのだから、獺祭はウマイに違いないのだ。
「獺祭」の磨き五割とは、原料米を五割まで精米して造った獺祭の意味。つまり、原料米の50%は精米されて取り除かれ、残りの中核五割で獺祭を造ったのが「獺祭」の磨き五割である。
ついでに、「升空」とは、一升瓶などあっという間に空(から)にするという意味も籠めての名乗りである。
獺祭は、杜氏抜き、徹底的データ管理で造られる
こんなにウマイ獺祭は、昭和創業の「新参」朝日酒造の革新的酒造り技術によって生み出されている。
何が革新的かというと、朝日酒造には杜氏がいないのだ。
いないというよりも、実は逃げられたのだ。
社長の酒造りの方針について行けない杜氏たちが、一斉に辞めてしまった。
ならば杜氏抜きで酒を造ってやると、社長が社員達と奮闘努力したお蔭で、獺祭というウマイ酒を造り出したのである。
杜氏抜きの獺祭は、徹底したデータ管理によって造られている。それが上記の高層マンションのような本社工場の姿に現れている。
獺祭の酒造りは、IT時代の先端企業による酒造りといえる。
酒造りの全行程で詳細なデータを取り、検査室のパソコンに蓄積して分析することで、酒造りの最適解を見つけ出してきたのだ。
朝日酒造は、匠を捨てて、匠の技を生かしていると言われる所以である。
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作り方が、伝統的であろうと、革新的であろうと、結果として生み出される日本酒が、ウマイのであれば、それが酒飲みには一番である。
というわけで、思想的にはかなり保守的である升空大人も、日ごろ獺祭磨き五割を愛飲しているわけだ。
「獺祭」磨き二割三分 を追求する朝日酒造・櫻井社長
ところで、獺祭には磨き五割の外に、磨き三割九分と、磨き二割三分がある。
精米歩合60%以下を「吟醸酒」と呼び、精米歩合50%以下を「大吟醸酒」と呼ぶ。
「獺祭」磨き二割三分は、米粒の中心部分23%のみを酒の原料とするのだから、大吟醸酒の中でも精米度合いは飛び抜けて高い。
朝日酒造の櫻井社長は語る。
「それまでの吟醸酒は27%が最高だったので、25%を目指した。しかし、24%の酒があることを聞いて急きょ23%に切り替えた。2%余計に磨くためだけでさらに24時間かかった」
いまや「獺祭」といえば、「二割三分」が代名詞となりつつある。
「獺祭」の磨き五割、磨き三割九分、磨き二割三分を飲み比べてみるのもおもしろいではないか。
▼「獺祭」”磨き三割九分”と”磨き二割三分 ”飲み比べてはいかが。
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