ヤンキーか、マンキーか、ドンキーか?(岡倉天心)

マー君(田中将大選手)がニューヨーク・ヤンキース(New York Yankees)に移籍することが決まった。契約金は7年間で163億円とは、いやはや・・・、あちらでの活躍を期待したい。

ところで、ヤンキースについては、岡倉天心にまつわる面白い逸話があるので、この機会に紹介しておこう。

岡倉天心(覚三)

明治の頃の日本人には、英語の達人、名人がごろごろといた。岡倉天心もその一人である。今日のように語学の音声教材がない時代に、英語の達人が多く現れるというのは、漢文素読の基礎があったことが一つの要因であろう。

岡倉天心がアメリカ滞在中のこと、当時は東洋人がめずらしかたっと見えて、好奇の目で見られることが多く、また蔑視も今以上に強かった。ある米国人が天心をからかって、こう言った。

“Which nese are you, Chinese or Japanese?" (お前さんはどっちのニーズだ、チャイニーズか、ジャパニーズか?)

天心は咄嗟(とっさ)にこう切り返した。
“Which keys are you, monkeys, donkeys, or yankees?" (お前さんはどっちのキーだ、マンキーか、ドンキーか、それともヤンキーか?)

ドンキーには、「愚鈍、馬鹿」というほどの意味がある。こういう胸のすくような切り返しが出来るとは、さすがに天心先生は偉い!

後に彼が著した英文著書"Book of Tea"(茶の本)は、今も世界中の人に読み継がれている。私も若い頃にこの書をテキストにして勉強会をしたことがある。

ついでに「ヤンキー」について学んでおこう。
「ヤンキー」とは、元々は、アメリカに移住したイギリス系移民が、オランダ系移民を蔑視の意味をこめて「ヤンキー」と呼んだのが始まりらしい。

その後「ヤンキー」は、米国東北部に住む白人の呼称になる。今日でもアメリカ南部やテキサス州の住民は、ニューヨークあたりの東北部の住人を少しばかり蔑視の意味を込めて「ヤンキー」と呼ぶことがある。それを逆手に取って、ニューヨーク・ヤンキースというプロ球団があるわけ。

日本においては、不良っぽい少年少女を「ヤンキ-」と呼ぶことがある。
ハイヒールのモモコなどは、昔ヤンキーだったことを売りにしている。
ニューヨーク・ヤンキースに移籍したマー君、せいぜいヤンキー振りを発揮してもらいたいものだ。

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