『日本人の特殊感覚』まえがき・目次

下記は、『日本人の特殊感覚 刀剣・武道・もの・天皇・日本列島』の
「まえがき」および「目次」(このページの下)です。

まえがき『日本人の特殊感覚』

 地球上の民族は、それぞれ固有の感覚を持っています。日本人も、日本人に固有の感覚をもっています。日本人の固有感覚は、日本人にとっては当たり前の普通の感覚ですが、世界中の他の民族から見ると、それは当たり前ではなく、極めて特殊な感覚と見られることがあります。
本書においては、日本人にとって当たり前の普通の感覚を、他民族の目から見た特殊感覚として見つめてみたいと思います。
刀剣、武道、もの、天皇に関わる特殊感覚について論じた後、そのような特殊感覚を持つ日本人が生きているこの日本列島の存在意義について考えてみたいと思います。

筆者は先に『日本語は神である・日本精神と日本文化のアップダウン構造』を著し、日本語アップダウン構造が日本文化の精髄であることを論理的に解明しました。
日本人の特殊感覚は、この日本語アップダウン構造に由来するようです。そこで、アップダウン構造のあらましを、ここで述べておきます。

例えば、私があなたに「ありがとう」と言う時、この会話の関係者は、私とあなたの二者であると普通は考えます。
しかし、日本語アップダウン構造は、隠れた第三者を引き込むのです。
アップダウン構造は、見える世界の私とあなたにプラスして、見えない世界の隠れた第三者とつながります。「ありがとう」は、三者関係になるのです。

日本語ありがとうのアップダウン構造
 見える世界に私とあなたがいて、見えない世界に両者を生かして下さる存在がある。そのことを日本人は深層意識で承知しています。

そこで、見える世界のあなたの好意に対して感謝する時も、あなたとその好意を見えない世界から支えて下さる奥の存在に対して無意識の感謝を捧げるのです。だから、「有り難い」というのです。

仮に「ありがとう」(有り難い)を英語に直訳しても感謝の表現とは決してなりません。
It Seldom happens. (それはめったに起こらない、有り難い)。
この直訳には、感謝の対象も感謝の心も含まれていません。
「ありがとう」の直訳は、三者関係が訳し切れませんので、無意味です。

一方、英語の「サンキュー」は単純明快な二者関係です。
・Thank (感謝する) 感謝の心
・ you (あなたに) 感謝の対象

サンキューのショートカット構造
 「サンキュー」は、私とあなたの二者関係で完結します。見える世界で完結します。
英語は、隠れた第三者を引き込みません。見えない世界とは無関係です。
筆者はこの英語の構造をショートカット構造と名付けました。

特殊感覚とは、ショートカットの意識ではどうにも理解できないアップダウン構造の奥から流れてくる意識です。

日本人の特殊感覚はアップダウン構造から
 アップダウン構造は、無意識の構造ですので、日本人が無意識のうちに感覚していることが、ショートカット言語の他民族から見れば、特殊感覚と映るのです。
見えない世界とつながっている日本語アップダウン構造の奥の世界は、ショートカット言語の意識では、切り取ることができません
日本語がアップダウン構造をしているが故に、日本人の心もまた自ずとアップダウン構造をとることになり、日本人の意識は知らず識らずのうちに見えない世界とつながることになります。筆者はそのことを拙著『日本語は神である』において、詳細に、論理的に、完璧に論証しました。

本書では、刀剣、武道、もの、天皇に関わる特殊感覚が、日本人のアップダウン意識によって作られたものであることを論証したいと思います。
無意識の特殊感覚を日本人が自覚的に意識することから、日本列島の存在意義と日本人の生き方が鮮明に浮き上がります。
そのことを第五章「日本列島の存在意義」で述べました。

日本人はニッポン不足。ニッポンを知ることは、日本人の人生ビタミンを補充することといえるでしょう。ニッポンとは何かを深く自覚することにより、日本人として生まれたことの有り難さを噛みしめて戴き、日本人としての生き方を深めていただきたいと願っております。

昌原容成(あけはら・ようせい)
日本人の特殊感覚 刀剣・武道・もの・天皇・日本列島書名:日本人の特殊感覚 刀剣・武道・もの・天皇・日本列島
著者:昌原容成(あけはら・ようせい)
定価:1,800円(本体)+税、Kindle版:880円
刀剣・武道・もの・天皇に対する日本人の特殊感覚について述べ、そのような特殊感覚を有する日本人と日本列島が地球上に存在することの意義について解説しました。
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解説『日本人の特殊感覚』
▼「目次」(下記)

目次『日本人の特殊感覚』

第一章 刀剣に対する特殊感覚
第一節 刀剣は産霊の神宝
刀と剣の違い
刀剣は単なる武器ではない
刀剣を神として祀る日本人
刀剣は産霊の神宝
産霊(むすび)の力がなぜ刀剣の形を取るのか
従来の古事記解釈(刀剣は殺傷の道具)
新しい古事記解釈(刀剣はムスビの神宝)
第二節 刀剣は誓霊の神宝
誓霊とは
誓霊には誓霊代が必要
天照大神と素戔嗚大神の誓霊
剣神・宗像三女神
源義家と藤原経清の誓霊
八幡太郎義家の逸話
風雅の心を子どもたちに
第三節 刀剣は鎮魂の神法
鎮魂とは
神武天皇、国平の剣で鎮魂
刀剣を殺傷の道具とは思わない日本人
第四節 日本刀は日本列島の精気を含む
刀剣は水火の禊ぎを繰り返した清浄体
ケガレを嫌がる刀剣
刀匠は精進潔斎して刀を鍛える
刀匠の姿に畏敬の念を抱く日本人
第五節 諸外国と日本人の刀剣感覚を比較
韓国ドラマにみる刀剣の扱い
剣神を祭る日本人は野蛮な民族か
身から出た錆(刀剣と同化する日本人)
鉄砲を捨てた日本人
第六節 日本精神アップダウン構造
特殊感覚はアップダウン構造から
なにごとのおはしますかは知らねども

第二章 武道に対する特殊感覚
第一節 武道と神道はあざなえる縄の如し
武道とマーシャルアーツの違い
神道と武道は車の両輪
初代天皇の諡号「神武天皇」
第二節 日本武道と刀剣
戈を止(とど)めるか止(すす)めるか
日本武道の核心にある刀剣
第三節 武の神と武道の神髄
武の神フツヌシとタケミカツチ
武道とは破邪顕正、虚空界に没入の道
武道至極の心
国技とは日本武道の総体である

第三章 ものに対する特殊感覚
第一節 土足でまな板に飛び乗る米人シェフ
持った湯飲みをバッタと落とし
土足でまな板に飛び乗る
「まな板は物に過ぎない」と考えるアメリカ人
まな板に土足はダメと教える必要があるのか
第二節 日本人の「もの」感覚
「物質」という飜訳語
日本語「もの」は物質ではない
日本語「もの」感覚は、普遍感覚であった
物部氏と「もの」感覚
「もの」のミタマを祭る日本人
第三節 ものと生きる
やまと心のものづくり
ものにタマシイを籠める
家がものになる
食べ物というものづくり
もののタマシイと付き合う

第四章 天皇の特殊感覚
第一節 国民の天皇に対する特殊感覚
「日本とはどんな国」と尋ねられたら
日本国の象徴は天皇
世界最古の皇統
精(せい)と体(たい)
男系天皇と女系天皇
天皇と皇帝の違い
天皇と英国王の違い
どら息子が天皇に敬語
天皇アップダウン構造
第二節 天皇の国民に対する特殊感覚
「君臨すれども統治せず」から一歩進んで
天孫降臨
天皇が「しらす」とは一体化すること
皇族のお名前に表れる一視同仁
天皇の特殊感覚と国民の特殊感覚

第五章 日本列島の存在意義
第一節 大地は生きている
四国の神秘
地球と人間は同根
第二節 日本列島の存在意義
天皇の御位を保持する
日本でキリスト教が広まらないのはなぜか
仏教が日本に定着したのはなぜか
第三節 日本人の生き方
日本人は日本列島の産物
天孫降臨の真義
祭祀民族としての生き方を
天孫降臨をあなたの中に
あとがき

日本人の特殊感覚 刀剣・武道・もの・天皇・日本列島書名:日本人の特殊感覚 刀剣・武道・もの・天皇・日本列島
著者:昌原容成(あけはら・ようせい)
定価:1,800円(本体)+税、Kindle版:880円
刀剣・武道・もの・天皇に対する日本人の特殊感覚について述べ、そのような特殊感覚を有する日本人と日本列島が地球上に存在することの意義について解説しました。
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解説『日本人の特殊感覚』
「まえがき」(このページの上)