産土百首01 産土に生れ出でつゝ

本田親徳「産土百首/01」
 産土に生れ出でつゝ 産土に 歸る此の身と 知らずやも人

産土神は人間誕生の始めにお世話下さる神

 人間がこの世に肉体形成して生まれてくるためには、父親と母親の結びがどうしても必要です。
 ところが、父親の力と母親の力が結ぶだけで事足りるかというと、そうではありません。第3の力が必要です。

 その第3の力が、すなわち、産土の力です。

 肉体界に出生を待つ霊魂が、父母と縁と結ぶのは、産土神の働きによるものです。(詳しく物語ると、たくさんの神々のお働きがあってのことですが、代表して産土神と申し上げてよいでしょう。)

 つまり、人間は、父と母と産土の結びによってこの世に誕生してくるのです。

産土に生まれ出でつつ

とは、そのことを詠んだものです。

産土神は死後の行く末を示してくださる神

 産土神は人間誕生に関わるだけではなく、人間の死後の行く末を差し示してくださる神です。

 人間は、その霊魂のありようと生前の行いの如何によって、その死後の行き先が決められるのですが、それは「根本的には」産土神の差配によって行われるのが筋目なのです。

 ところが、そこで、人間側が宗教などというものを持ち出しますと、産土神は手を引かれることがあります。
 宗教信者は、教祖およびその背後の神霊群が構成する世界があり、その世界に導かれることになります。

 それはそれでよろしいです。
 しかし、その教団がいつまでも信者の導きを続けられるかというと、そうは言い切れません。はやりすたりを起こすことがあるのです。

 数十年前に立派な教祖がいて、形成した教団の背後世界が、今では様変わりして信者の死後の導きを為しえないという例が、私の経験上、少なからずあると確言できます。

 産土神の霊験記(1)では、家の中でさまよう子ども達の霊を、その家の主婦が21日間の産土参拝によって行くべき所へ導いたという話を書きました。
 産土神の霊験記(2)では、強烈な害意をもってあの世へ人を引きずり込もうとする霊たちですら、21日間の産土参拝によって解決した話を書きました。
 こういうことは、随分あるのです。

 ある教団の信者が、亡くなって死後の行方が定まらず、うろうろとした挙げ句に縁をたどってこちらへやってくるということが再々ありました。何度も何度も繰り返し、そういうことが起こります。

 そういう場合に、最初の何度かは、みたま祭り(霊魂安定祭)をして差し上げたのですが、今はもっぱら、みたま達自身で産土神をお呼びして産土神の導きに乗りなさいということを強く言い渡してお引取り願うことにしています。
 それで充分、道が開くと見えます。

 かように、産土神は、人間誕生のみならず、人間死後のお世話をもしてくださる有り難い神様です。

産土に 歸る此の身と

この一句に籠められた恵みは、甚だ大きいと言えるでしょう。

知らずやも人

 そういう産土神と人間のつながりについて、知らない人がまことに多い。其れを知らずにいられましょうか。
 「産土百首」の冒頭に、この一首がおかれていることの意味を深々と味わいたいものです。
 また、子ども達にも、父・母・産土のこと、人生必須の知識として教えてあげたいものですね。
【参考】→ 誕生日は父母産土感謝の日

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