枕草紙の言霊解釈・はじめに
「枕草子の言霊解釈(現代語訳・英訳・昌原枕草子)」について
清少納言の『枕草子』は、紫式部の『源氏物語』と共に、平安朝文学の双璧と云われます。また、鴨長明の『方丈記』、吉田兼好の『徒然草』と並んで日本三大随筆と称されることもあります。
このサイト「日本古典を味わう」では先ず、「枕草子」を採り上げて、それを味読してみたいと思います。
私は、日英翻訳プロとして、四十数年にわたり日本語と英語の翻訳実務に携わってきました。
また日本神道 を歩むことを生涯の道として、神道 祭式を学び、神祀りに携わってってきました。その翻訳経験と神祀りの経験から、日本語の言霊の精髄を取り出して
『日本語は神である・日本精神と日本文化のアップダウン構造』
なる一書を著しました。
上記拙著のエッセンス「アップダウン構造」に基づく言霊解釈も、随所に盛り込むつもりです。この言霊解釈という点が、このサイトの最もユニークな点でしょう。また、アイヴァン・モリスによる英訳文とも対比しつつ、日本語の特性を際立たせていきたいと思います。
このサイトを「枕草子の言霊解釈」と名乗る所以です。
上記拙著をお読みいただくと、本サイトの言霊解釈を一層おもしろく呼んでいただけると存じます。
本サイト「枕草子の言霊解釈(現代語訳・英訳・昌原枕草子)」は、次の8要素から構成されています。
1)【枕草子原文】 清少納言の手になる枕草子の原文です。
2)【現代語訳】 枕草子原文を、私(昌原)が現代語訳したものです。
3)【原文語釈】 必要に応じて、原文に語釈を付けます。この語釈に、私の言語観や言霊解釈が籠められています。
4)【モリス英訳】 アイヴァン・モリス(Ivan Morris)による英訳文です。
5)【英訳の和訳】 モリスによる英訳文を、私(昌原)が日本語に直訳したものです。
日本語として達意の訳文を目指すというよりは、英語の心を日本語で読み取ることに重点をおきます。
つまり、西洋人が枕草子の原文をどう解釈したかを鮮明にさせるためです。したがって、日本語の美しさというよりは、英語の心を直訳した「ぎこちない」日本語になることもあります。
以上から、このサイトには、日本語枕草子が三種類できることになります。
【枕草子原文】 (清少納言による)
【現代語訳】 (昌原容成による)
【英訳の和訳】 (モリスと昌原容成による)
【枕草子原文】を【現代語訳】を参考にしながら【英訳の和訳】と読み比べることにより、日本語の心と英語の心の違いを比較することができます。そこから、改めて枕草子を深く読み取り、清少納言との対話を深めることができるはずです。
6)【英訳語釈】 アイヴァン・モリスの英訳文に対する語釈です。
7)【鑑賞】 主として日英対比による鑑賞上のコメントを必要に応じて付けます。
8)【昌原枕草子】 枕草子の原文に対応させて、私(昌原)の随想を付けます。
【昌原枕草子】に書きつづる男性としての私の感性が、清少納言の女性的感性とどういう対比のおもしろさが出て来るか、これは私自身にもわかりません。
【昌原枕草子】とは、少し面映ゆいのですが、まあ、ご勘弁ください。いずれあの世で清少納言に出会っても、恥ずかしくないように、せいぜい頑張って文章を書かせていただきます。
以上が、このサイトの主要な構成要素です。それ以外に、時に応じ、いろいろな項目を追加するかも知れません。
【英訳の和訳】を参照することにより、枕草子を愛する人々がより深く清少納言の心に入っていくことができるであろうと思います。
また高校生や大学受験を目指す青年諸君の古文と英語の両方の学習にも役立つことでしょう。
【鑑賞】が、ひょっとするとこのサイトのもっともおもしろい要素になるかもしれません。【英訳の和訳】と対照させることにより、清少納言の日本的感性が際立つからです 。
それにしても、今年の春は格別の春でございます。清少納言との対話を始めようと志したのですから。
春はあけぼの・・・。
読者の皆様の人生も、「やうやう白くなりゆく」ように、新たなる地平が明け初(そ)めることを祈り上げます。
先ずは、「春はあけぼの」から読み始めて下さい。
→枕草子言霊解釈001-1 春はあけぼの