日本酒「七ツ梅」 梅は七つ時(未明)にひときわ香る
日本酒は日本文化の華:「七ツ梅」(ななつうめ)の蔵元・産地
兵庫の日本酒「七ツ梅」(ななつうめ)の酒銘を楽しむ
日本酒は日本のもの造りの柱の一つである。
その蔵元の創業は、江戸や明治の頃にさかのぼれるのはざらにある。
「七ツ梅」は「剣菱」や「男山」と共に、江戸時代を代表する銘酒であった。上の「七ツ梅」のラベルにも「元禄七年」と記してある。ところが、「七ツ梅」の蔵元「浜福鶴銘醸」は平成8年の創業であるという。これはどうしたことか。
創業は元禄七年か平成8年か。
これには少し事情がある。
江戸は元禄七年(赤穂浪士の吉良邸討ち入りが元禄十五年だから、その八年前)、摂津の国伊丹(いたみ)の地に「七ツ梅」という銘酒が誕生した。
当時は甘口の濁り酒が主流であったのだが、七ツ梅は辛口のスッキリとした旨みが江戸市中でも人気を呼び、葛飾北斎の浮世絵にも、「七ツ梅」が描かれているとか。
また、天保年間には、江戸城大奥の御膳酒として愛飲された。
天保6年生まれの天璋院篤姫も、ひょっとすると、この「七つ梅」を口にしたかも知れない。
時が移り、幕府の厳しい酒造統制や、ライバル灘酒の台頭もあって、伊丹の酒造業は次第に衰退していった。
「七ツ梅」の蔵元「木綿屋」も廃業の道をたどり、埼玉の田中藤左衛門商店へ受け継がれ、最後に現在の「浜福鶴醸造」が正当な継承者として、様々な遺物とともに「七ツ梅」を引き継いだ。
酒銘というものは、その酒の歴史を背負っている。酒造り人たちが、酒銘「七ツ梅」を消してしまうに忍びないとして、それ受け継ぐ蔵が現れたのである。
酒造り人たちの努力によって、江戸以来の銘酒「七ツ梅」が継承されたのは、まことに有り難い。それは「七ツ梅」の酒徳のなせる業でもあったと云えるであろう。
酒銘「七ツ梅」の由来は早朝七つ時の梅
酒銘の由来は、「七ツ時の梅」にある。
寒中に花開く梅は、七ツ時つまり午前4時ごろが、ひときわ香りが立ち上る。
古歌にも次のように「七つ梅」が謡われている。
おく深く谷間に咲けど七ツ梅、香りは広く世にぞしらるる
端正なる味わいが雅びなる酒銘と相俟(ま)って、江戸の文人達にも大いに愛飲されたことであろう。
天璋院篤姫や大奥の女性たちも、この「七ツ梅」をその酒銘とともに深く味わったことであろう。
【七ツ梅を手に入れる】
江戸時代を代表する銘酒」と言われた「七ツ梅」が存続されたのは、まことにうれしい。
この酒は数年前まで楽天では手に入らなかったが、今では楽天でも手に入るようになった。
七ツ梅 生もと 純米酒 無濾過生詰 1.8L 20BY 平成20年9月瓶詰め
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七ツ梅 赤磐雄町 純米吟醸 無濾過生原酒 720ml
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