日本酒「秋鹿」妻・恋人を慕って鳴く鹿の甘酸っぱい心情、酸味が効いた名酒

日本酒は日本文化の華である:「秋鹿」の蔵元・産地



酒銘: 秋鹿(あきしか)
蔵元: 秋鹿酒造
土地: 大阪府豊能郡能勢町
創業: 明治19年 (1886年)

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大阪の日本酒「秋鹿」(あきしか)の酒銘を楽しむ

大阪のような大都市でウマイ酒が造れるものかとお考えかも知れない。
いやいや、どうして、大阪府は縦に長く、その北部の能勢町ともなると、一面の田んぼで、山形や新潟の米所と何ら変わる所はない。

秋鹿酒造の蔵元・奥さんは、「自分が飲みたいお酒を、自分で米を作り、全量純米の蔵にして、自分の目の届く範囲で販売して・・・・・」と語る。
奥さんとは、姓が奥さんであって、夫人の意味ではない。現在は6代目の奥裕明さんが蔵を仕切っておられる。

蔵元自らが杜氏として、米作りから酒造りまでを一貫してこだわりの酒造りを行っている。
1995年から無農薬の山田錦栽培に挑戦し、2012年には自社畑11ヘクタールすべてを籾・米ぬか・酒粕を肥料とした「循環型無農薬有機栽培」無農薬栽培を実践するなど、土つくりから始まる、こだわりの酒米つくりは「秋鹿」の酒質にも大きく反映されている。

「秋鹿」の酒銘が良い。

 奥山に 紅葉踏みわけ 鳴く鹿の
 声きく時ぞ 秋は悲しき

  猿丸太夫『古今集』秋上

秋の雄鹿は、雌を求めて鳴くことから、古来、万葉集や古今集はもちろん、和歌の世界において妻や恋人を思うという定番のテーマとなっている。

奈良公園の鹿は有名だが、大阪にも秋に鳴く鹿が、能勢の山奥には随分といただろうと思われる。

「秋鹿」(あきしか)の醍醐味は酸味にある

妻・恋人を想って鳴く、何とも甘酸っぱい感覚・・・そう、それが銘酒「秋鹿」の醍醐味である。
酸味こそが「秋鹿」の持ち味なのだ。

「秋鹿」は日本酒の豊富な旨味を豊かに含みながらも、飲んだ後に口に甘みがべたついて残る感じが無い。飲み口は非常にクリアで切れが良い。爽やかな酸味が、いろいろな料理とよくマッチする。
蔵元神座して来られた、料理と共に楽しんで頂けるお酒(日本酒)という狙いは、見事に実現されている。
日本酒の旨味と個性豊かな酸味、くシャープな切れ味は料理との相性抜群であり、しかも冷・室温・ぬる燗と温度帯を変えても味が崩れない。

大阪でこんなに美味い酒が造れるとは、意外であった。
『美味しんぼ』でも雄山が銘酒として、「秋鹿」を紹介している。(下記)



このサイトの「日本酒は日本文化の華」においては、酒の味については述べず、もっぱら酒銘に焦点を当てることを主眼としてきたのだが、地元大阪に味わい深い酒があることが嬉しく、ついつい味についても言及してしまった。
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