【神道03】人間誕生の秘儀(父と母と産土神の産霊)

 今、太陽の新時代、日本神道新生の流れに身をひたす為には、産土神のことを知る必要があります。そもそも人間は、産土神の力無くしてこの世に肉体を形成(誕生)することができないのです。人類は、せめて日本人は、産土神の存在を深く心に納めたいものです。

1. 人間誕生には三つの力が必要(父・母・産土神)

 人が肉体形成してこの世に誕生するためには、三つの力が必要です。
 すなわち、

  • 父という力
  • 母という力
  • 産土神(うぶすながみ)の力

が必要です。
 この三つのどれが欠けても、人間の肉体形成はかなわないのです。

 子供が生まれるのに、父親と母親の産霊(ムスビ)が必要であるとは、誰でも承知しています。
 しかし、父親と母親がムスビあうだけでは、「真実の人間」を産み出すことはできません。

 父親と母親に加えて、産土神の力がどうしても必要です。

 父と母と産土神のムスビによって、人間が肉体形成して誕生するという仕組みになっているのです。

 人間誕生の神秘には、細かい細かい過程が多数あり、その一つ一つの過程に神々がお働きになります。

  • 霊魂を送り届ける神、
  • 霊魂を受け取る神、
  • 霊魂を両親と結ぶ神、
  • その他の神々、

 これら多数の神々の働きを受けて、人間がこの世に誕生するのです。
 人間誕生に関わる神々を代表して産土神(うぶすながみ)と申し上げます。
 人間がこの世に誕生するためには、父、母、産土神の三つの力が必要です。

産土神は両親と子供を結びつける

 では、産土神はどういう働きをするのか?拙著から引用します。

親子で学ぶ神道読本(一)父と母と産土の神
 あの世には、誕生を待つ霊魂が多数います。
 一方、この世には、子どもを欲する夫婦がいます。
 そこで、その夫婦の住む土地の産土の神が、その夫婦にふさわしい子どもとなるべき霊魂を見出し、子どもの霊魂と夫婦とを結びつけるのです。
 よく子どもが両親を選んで生まれてくるといわれますが、その子どもの霊魂の希望も考慮して、その子が人生で学ぶべき事柄も考慮して、最終的に産土の神さまが決断して、子どもの霊魂と両親とが結ばれるのです。
 父の力、母の力、産土の力の三つが結ばれて、子どもが誕生するという摂理があるのです。東洋と西洋の違いに関わらず、人間であれば必ず、父・母・産土のムスビによって生み出されるのです。
(親子で学ぶ神道読本(一)父と母と産土の神 昌原容成・著 P.67-68)

父の奥に父なる神、母の奥に母なる神

 父の力、母の力とは、肉体人間としての父親母親の力とのみ解釈してはなりません。

 父の奥に父なる神が働いていらっしゃる。
 母の奥に母なる神が働いていらっしゃる。

 父親となることが出来るのは、父なる神が働くから。
 母親となることが出来るのは、母なる神が働くから。

 父なる神の代表神を伊弉那岐(イザナギ)大神と申し上げます。
 母なる神の代表神を伊弉那美(イザナミ)大神と申し上げます。

 伊弉那岐(イザナギ)大神がお働きになるから、父親は尊い。
 伊弉那美(イザナミ)大神がお働きになるから、母親は尊い。

 その尊さを子供に深く深く分からせることが、子育ての一大重要事であります。
 この重要事が、ほとんど忘れ去られようとしている現状があります。

 親が子を殺し、子が親を殺すという惨状が、そこから生まれます。
 人間存在の成り立ちに深く想いを致すならば、そのようなことは起こりえないはずです。

子供に最も近しい神は、父母(ちちはは)産土神(うぶすながみ)

 両親は、子供の中に、神を敬い尊ぶ心を育みたいと願うものです。
 万物に対する感謝の心を育みたいと願うものです。

 では、子供に、先ずどういう神を教えるべきでしょうか。
 何に対する感謝を先ず第一に教え育むべきでしょうか。

 近くに産土神社があるのだが、神域も狭く、どうも頼りなげである。
 遠くに有名神社があり、豪壮な鳥居に立派な社殿を備え、参拝者も多い。
 そこで、子供を伴って、遠くの有名神社を参拝する。
 子供は自ずと遠くの有名神社の神を尊ぶようになる。

 それが、そもそもの間違いの始めです。
 子供に神様を教えるのであれば、最も近しい神から教えるのがよろしいでしょう。

 子供にとって最も近しい神は、お父さんという神様、お母さんという神様、そして産土の神様です。
 子供は、 父親を通して父なる神の恵みを受け、 母親を通して母なる神の恵みを受けるのです。
 さらに人生の諸般にわたり、産土神の恵みを受けて生きてゆくのです。

 父なる力、母なる力、産土の力を礼拝申し上げることによって、子供は自分の中に生きる力を充実して行きます。子供の霊魂の底力が遺憾なく発揮されるようになるのです。

 子供が成長して大人になっても、一個の人間である限り、父の力、母の力、産土神の力によって生かされていることに変わりはありません。

 父と母と産土神とを礼拝申し上げることが、子育ての第一重要事であると申し上げる所以(ゆえん)であります。
 『親子で学ぶ神道読本(一)父と母と産土の神』を親子でお読み下さいとお願い申し上げる次第です。

誕生日とは、父母産土神への感謝の日

 今の子供たちは、誕生日とはプレゼントをもらう日であると勘違いしています。
 大人がその勘違いを子供たちに植えつけているのです。
 これが、日本人の心を大きく狂わせています。

 誕生日プレゼントが気に入らないと言ってごねる子供たち。
 してもらうことしか考えられない子供たち。
 父母産土への感謝など考えてみたこともない子供たち。

 みんな、大人が作り出した化け物です。
 何はさておいても誕生日こそは、自分を産み出してくれた三つの力に感謝申し上げる日であると、どうして教えないのか。大人たちの怠慢です。

お父様、私を生んで下さってありがとうございます。
お母様、私を生んで下さってありがとうございます。
産土の神様、私を父母と結んでくださってありがとうございます。

こういう言葉を出せる子供の人生には、豊かな実りがもたらされて当然です。
 誕生日は、人間誕生の秘儀に思いを致して、父母産土神に感謝申し上げる日。これを日本人の常識にしたいものですね。
その常識を、子供の頃から繰り返し、子供たちに話して聞かせましょう。それが、子供たちの本当の幸せ作りにつながるのです。
 誕生日は、父母(ちちはは)産土神への感謝の日!
 幸せは、父母産土神への感謝から!